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Bits of Knowledge about Coins

芸術性の高いコイン
Decadrachm

 紀元前4世紀古代ギリシャシラクサで発行されたデカドラクマ銀貨(レプリカ)をご紹介します。裏面にはアレトゥーサの肖像と4頭のイルカ(肖像側が裏面だそうです)、表面には戦車競争に使われる4頭立ての馬車(クアドリガ)と、その上に勝利の女神ニケが描かれ、古代ギリシャコインの中で最も美しいとされています。本物はとても高価なので、レプリカで我慢するしかありませんね。

楊貴妃の時代のコイン
JerseyPenny

 これは、の時代に発行され、和同開珎のお手本にもなった開元通宝です。対読(直読)の「開元通宝」が一般的ですが、順読(旋読)の「開通元宝」が正しいとする説もあります。後の時代に、対読の「通宝」と順読の「元宝」が同じ元号で発行されていたりするので、まあ、どちらでもいいのでしょうね。ちなみに裏面の模様は、楊貴妃の跡とも言われています。楊貴妃が生きた時代の、ロマン溢れるコインです。

珍しい額面のコイン
JerseyPenny

 このコインは1861年ジャージーで発行された1/13シリング銅貨です。1/13とは中途半端な数字ですね。イギリス王室属領なので、当時のイギリスと同じ十二進法かと思いきや、何と十三進法を採用しています。さすがに使い勝手が悪かったとみえて、1877年には十二進法に改められました。こんな珍しい額面のコインに出会えるのも、外国コイン収集の魅力のひとつです。

子供も楽しめる紙幣
DISNEY

 以前、本場アメリカのディズニーランドに遊びに行った知人から、お土産としていただいたディズニードル紙幣をご紹介します。
 ミッキーマウスが描かれていて、大人も子供も楽しめますね。1987年から2016年まで発行されていて、現在も施設内で通貨として使えるそうです。残念ながら現在は発行されていませんが、その分、希少価値が高まって、コレクションする人が増えているようです。

凹んだコイン
INDIAN HEAD

 コインに記された文字や図案は出っ張っているのが普通ですが、例外的に凹んでいるコインもあります。上のコインは、私のコレクションの中で唯一、図案が凹んでいる、1909年米国で発行された5ドル金貨です。凹んでいるので、文字や図案が擦り減りにくいという点で合理的ですが、逆に表面が削り取られても分かりにくいので、特に貴金属のコインには向いていないですよね。なので全くと言っていいほど普及しておらず、その意味では珍しいコインです。

小さ過ぎるシルバーコイン
PANAMA PILL

 中央のコインは、1904年パナマで発行された2.5センテシモ銀貨です。1円玉と比べると、その小ささがわかりますね。直径は、僅か10mmしかありません。その錠剤のようなかたちから、“パナマ・ピル”と呼ばれています。こんなに小さくても、同じ年に発行された最大額面のコイン、50センテシモ銀貨(右側のコイン)と同じデザインになっていて、品位も0.900の、れっきとした銀貨です。

癒し系のコイン

 数あるキャラクターの中で、私が最も好きなのがスヌーピー。どちらかというと派ではなく派の私ですが、好きなキャラクターとなると、話は別。ほのぼのとしたスヌーピーの姿に、とても癒されます。そんなスヌーピーが描かれているのが、ニウエで発行された1ドル白銅貨です。コイン・コンベンションで見つけ、迷わず入手しました。
SNOOPY

大き過ぎるマイナーコイン
CART WHEEL

 10円玉と並べたのは、1797年にイギリスで発行されたジョージ3世の2ペンス銅貨です。マイナーコインなのに、直径は大型銀貨も顔負けの41mm、重さは大型銀貨のなんと2倍、57gもあります。厚みもあって縁が太いその形状から、車輪銭(cartwheel)と呼ばれています。それまでの2ペンスは重さ僅か1gの小さな銀貨だったのですが、産業革命の礎となった蒸気機関の実用化によって、と等価のを使った大型コインの大量生産が可能になりました。大き過ぎてコインアルバムに収納できないのが難点です。

変った形のコイン

 日本のコインにはみられない、変った形のコインを集めることができるのも、外国コイン収集の楽しみのひとつです。手元にある外国のマイナーコインの中から、いろいろな形のコインを拾い集めてみました。こうして見てみると、小判楕円長円)形や、一分銀長方形って、意外と珍しい形なんですね。私のコレクションの中に見当たらなかった、5角形とか11角形のコインを、いずれ手に入れたいと思っています。
SHAPE 3角形クック諸島
 2ドル 白銅貨
4角形スリランカ
 5セント アルミ貨
6角形エジプト
 2ピアストル 銀貨
7角形イギリス
 20ペンス 白銅貨
8角形イラク
 250フィルス 白銅貨
9角形タイ
 5バット 白銅貨
10角形香港
 5ドル 白銅貨
12角形ジャマイカ
 1セント アルミ貨
菱形バングラデシュ
 5ポイシャ アルミ貨
波8角:モルディブ
 5ラーリ アルミ貨
波10角:タンザニア
 10センティ アルミ青銅貨
波12角:パラグアイ
 50センチモ アルミ青銅貨

リッチな気分が味わえる紙幣
ZIMBABWE

 紙幣は収集していないのですが、そのあまりに大き過ぎる額面を見て、つい入手してしまいました。話しのネタに。ジンバブエで発行された超ハイパーインフレ紙幣、100ドル紙幣です。
 もし1ドルの価値が、米ドルと同じくらいあったとしたら、日本円に換算して何と1円。毎日1円づつ使い続けたとしても、使い切るのに30年かかる計算です。地球をまるごと購入しても、お釣りがくるかもしれませんね。

中国のミントマーク

 中国のコインも、の時代になると背面にミントマークが記されるようになりました。満州文字で記されているのが一般的ですが、銭種によっては満州文字に加え、漢字が記されているものがあります。左側に満州文字、右側に漢字でミントマークが記された康熙通宝が18種類集まったので、ご紹介しましょう。これらも入手が容易なものばかりなので、ちょっとしたポケットマネーでコレクションを楽しむことができます。他に、"西"、"北"、"鞏"など入手が困難なものもありますが、"南"、"臺"などは比較的入手が容易なので、これら2種類を加えて20種類にするのが目標です。
→ その後、"南"が入手できたので、19種類になりました。
→ その後、"臺"も入手できたので、20種類完集できました。
KOKI 宣:河北省 宣化鎮局
薊:河北省 薊州府局
臨:山東省 臨清鎮局
東:山東省 済南府局
同:山西省 大同鎮局
江:江西省 南昌府局
寧:江南省 江寧府局
蘇:江蘇省 蘇州府局
河:河南省 南昌府局
昌:湖広省 武昌府局
廣:広東省 広州府局
浙:浙江省 杭州府局
福:福建省 福州府局
原:福健省 太原府局
漳:福健省 漳州府局
陜:陜西省 西安府局
雲:雲南省 雲南府局
桂:広西省 桂林府局
南:湖南省 長沙府局
臺:福健省 台湾府局


誰でも入手可能なエラーコイン

 下の写真は米国のエラーコインで、左からリンカーンセントジェファーソンニッケル(5セント)ルーズベルトダイム(10セント)です。これはまた随分とずれて打刻されていますね。日本のコインでこれほどまでのエラーは、あまり見たことがありません。もしもこんな10円玉が見つかったら、物凄くプレミアがつくでしょう。ところが米国の造幣局では、見学のお土産にこのようなエラーコインが販売されているそうです。米国のエラーコインは入手が容易なので、かなり昔のことですが、話のネタに入手しました。
ERROR COINS

古寛永16鋳地揃

 寛永通宝は、宝字の足が「ス」になっている古寛永と、「ハ」になっている新寛永に分類されます。新寛永は、既にご紹介したように、背面にミントマークがあったりして分類しやすいのに、古寛永は、ごく一部の例外を除いてミントマークがないので、字体の違いを拠り所に分類しなければなりません。でも、これって頭の体操になるので、ボケ防止に最適かも。サブコレクションの古寛永が16鋳地揃ったので、ご紹介しましょう。字体の微妙〜な違い、わかりますか。
KO-KAN-EI

日本のミントマーク

 外国コインには、鋳造地を示すミントマークが付いているのが一般的です。しかし、日本の近代コインにはミントマークがありません。なぜなら日本の明治以降のコインは、ただ一箇所(大阪造幣局)で造られていて、鋳造地を示す必要がないからです。ところが日本も、江戸時代のコイン(寛永通宝)は全国各地で造られていたため、鋳造地を示すミントマークの付いているものがあります。そこで、サブコレクションとして集めている寛永銭の中から、ミントマークのバラエティをご紹介しましょう。これらの寛永銭は、入手が容易なものばかりなので、ちょっとしたポケットマネーでコレクションを楽しむことができます。
KAN-EI 文:Tokyo
武蔵国江戸亀戸村)
佐:Niigata
越後国佐渡郡相川)
仙:Miyagi
陸奥国仙台石の巻)
十(輪):Tokyo
(武蔵国江戸深川十万坪)
小:Tokyo
(武蔵国江戸本所小梅村)
元:Osaka
摂津国大阪高津新地)
足:Tochigi
下野国安蘇郡足尾銅山
長:Nagasaki
肥前国長崎浦上淵掛り稲左京)
一:Wakayama
紀伊国紀州一ノ瀬)
久(母):Ibaraki NEW
常陸国久慈郡太田郷木崎村)

コインに描かれた紋章

 外国コイン、とりわけ19世紀以前の古いコインには、裏面に紋章が描かれていることが多く、この紋章を間近に鑑賞できることも、外国コイン収集の楽しみのひとつとなっています。中でも型の紋章は、国王の家系や支配地域を表すために厳格なルールに従って分割合成され、複雑なデザインになっていきます。
 盾型の紋章を中央に配したフリードリッヒ・ウィルヘルム4世の大紋章が描かれた、1842年発行のプロイセン王国・2ターレル貨の裏面のデザインをイラストレータで描いてみました。
SHIELD

エッジのはなし

 エッジと聞いて、スキーの板よりも前に、コインを思い浮かべるようになったら、あなたはもう既に立派な病人です。病の原因となっているコレクションをすべて手放して、一日も早い社会復帰を目指しましょう(笑)。
 さて、私の数少ないコレクションの中から探し出した、エッジ(コインの縁)のバラエティをご紹介します。
EDGE
1.平滑縁 (plain edge)
 1円硬貨5円硬貨のような額面の小さなコインには、コスト的な意味からも、エッジには装飾を施さないのが普通です。もちろん例外もあって、英国・ゴチッククラウンのプレーンエッジは、特に有名です。
2.ギザ縁 (reeded edge)
 50円硬貨や100円硬貨でお馴染みですね。偽造防止のため、また識別を容易にするために、額面の比較的大きなコインにつけられます。ご存じのように、かつて10円硬貨もギザ縁だった時代があります。
3.銘字縁 (lettered edge)
 500円硬貨が最初に発行されたとき、エッジに文字が刻まれているのを見て、新鮮に感じた人も多いのではないでしょうか。でも実はこれ、海外ではずっと昔から、ごく一般的に使われてきた装飾です。文字と文字の2種類あります。
4.斜めギザ縁
 平成12年から発行されている現在の500円硬貨がこれ。単純な割には、意外に珍しいタイプです。
5.ギザ+銘字縁
 ボリビアの8ソル銀貨 (1833) など。
6.装飾縁(その1)
 メキシコの8レアル銀貨 (1832) など。
7.装飾縁(その2)
 ペルーの8レアル銀貨 (1805) など。
8.装飾縁(その3)
 香港の1ドル白銅貨 (1960) など。偽造防止のため、ギザ縁の間にビーズや文字の装飾を挟み込んであり、セキュリティエッジと呼ばれています。

大型銀貨ってどれくらいの大きさ?
CROWN SIZE

 中央のコインは、明治時代に発行された1円銀貨です。現在の1円アルミ貨(直径は約20mm、重さはたったの1g)とは比べものにならないくらい実に立派ですね。500円硬貨と比べても、その大きさがわかります。直径は約37mm、重さは約27gもあります。
 19世紀から20世紀初頭にかけて、世界各地で発行された大型銀貨は、おおよそこの1円銀貨と同じくらいの大きさで、重さでいうと平均25gくらいでしょうか。貿易に使用することもあり、どの国も同じような品位・重さでなければ、不便だったのでしょう。
 日本でもこのような大型銀貨が発行されていたのですが、残念ながら、私の収集テーマである肖像が描かれた通常貨は、これまで一度も発行されたことがありません。昭和33年に100円硬貨のデザインを公募したところ、昭和天皇の横顔を描いた案があったそうですが、これは実現しませんでした。